週刊少年ジャンプ2025年47号でカエデガミが終了となりました。全17話
新連載巻頭イラストコンテストとか開催したら、恐らくかなり上位を狙える作品だったんじゃないでしょうか。

ただキャラが座しているだけなのに、吸い込まれるような蠱惑的なオーラと迫力を感じさせる1枚絵…
「ものすごい新連載が始まるかもしれない」と思わせるパワーがあります。

まぁこうして記事にしてるということは、そういうことなんですが
それではここから物語の集大成となる最後のコマ、打ち切りになった原因考察について書いていきます。
最後のコマ
こちらが物語の最後を飾るコマです。
出典:遥川潤『カエデガミ』(集英社)
シユウとご飯食べる約束はリスケして、コウの見開き笑顔で終わりました。
打ち切りが決まった漫画の大体はやりたかった展開を無理矢理やる、やれるところまで無理なくやるのどちらか選ぶことになりますが、本作は後者を選んだようです。

前者を選んだら、トウテツが体の全パーツ持っててシユウ完全復活!となっていたかも
ということで終盤でもそこまで巻いている素振りは見せなかったので、掲載順は不調だったにせよ「え、今回で終わり!?」と感じた読者も多そうな。


せめてあと2.3話くらいあると思ったらもう終わった…
以下から打ち切りになった原因考察に移ります👇
打ち切り原因① バトル諸要素と描写のフック
一番の原因はこれかなと思います。
本作に登場する敵は殺人も辞さないド畜生ばかりなこともあり、対話による解決が無理なことから必然的にバトルに持ち込まれるのですが、そのバトルに関する要素がどれを取ってもフックが弱かったと感じました。
例えばコウがシユウの力を得た戦闘形態ですが、フード付きの黒い外套が生えてくるだけであり、シユウの外見的特徴に即した形態でもないので読者の印象には残り辛そうです。
出典:遥川潤『カエデガミ』(集英社)
武器として貰える剣にしても、説明を見るに取り敢えずスゲぇ力を得るのは分かるんですが、それだけに終始しており、超人的パワー以外にも何か特徴付けるものは欲しかったですし、「フードとこの剣だけでそんな変わるの?」という若干の疑問は残ります。
出典:遥川潤『カエデガミ』(集英社)

イケてる技名や口上とかも無かったので、そういう点でもフックが弱かったなと
なんかそう考えると、虎の神怪と戦った時に力が暴走した際のビジュアルが基本形態で良かったのでは?と思えてきますね。
出典:遥川潤『カエデガミ』(集英社)

シユウの外見的特徴も出てて(ついでにオーラとカエデマークも)、印象には残りやすいです
あとはバトルを軸に話を進めるにはちょっと描写でも物足りなさがあったというか…
連載時の環境を振り返るとSAKAMOTO DAYS、しのびごと、カグラバチといったアクションが巧い作品が多いこともあり、こういう点でもバトル中心に話を進めるには部が悪そうではありました。

描写での遅れを補えるほどの心理戦とかも無かったので、やっぱり何かしらフックが欲しかったです
作者さんの過去作を見るとバトルは描いてこなかったようですが、本誌で連載持つならバトルやろ!的な感じでカエデガミはバトルメインになったと妄想が浮かびましたが、どうなんだろ。
打ち切り原因② 絶妙にモヤらせてきた体探しというテーマ
上の項目では展開軸のお話でしたが、本項目では物語の縦軸となるシユウの体探しというテーマについて。
以前にも記事で採り上げましたが、このテーマ自体が読者視点では設定と描写がイマイチピンと来なくて、違和感なく受け入れるのが難しかったように思えます。
遡ること連載最序盤。シユウの顔は奪われてしまい顔が無いことが明かされ、他のパーツも奪われたことが語られます。
出典:遥川潤『カエデガミ』(集英社)
この時点での管理人が抱いた感情や、チラホラ見かけた感想はというと…

見た感じ身体、もうあるよね…??
というものでした。
「顔が無いのは見ての通りなので分かる。でも他の部位は普通にあるっぽくない?物理的に奪われたというよりは概念が奪われたのかな??いやでも顔は物理的に無いからそういうワケではないか……」
と連載開始から暫くはモヤりながら読み進めた人も多そうです。
手があるべき部分は袖で隠れていたのは後々描写でも説明されるものの、それまでに物理的に部位が無いのか概念的に無いのか判然としないまま、違和感を全く持たずに「手が無いから萌え袖みたいになってる」ことを類推出来た読者はどれほどいたのか…
出典:遥川潤『カエデガミ』(集英社)

最初は手元が隠れたファッションだと思ってました
読み進めればある程度は納得出来たものの、生存には最重要な序盤での説明不足から来る違和感で票を落としたようにも感じるので、テーマに対するハッキリとした説明は欲しかったところです。
打ち切り原因③ シユウとバツの因縁
打ち切りの原因と呼べるほどのものかは分かりませんが、どうしても語りたいのと、ここで語らなきゃもう語る機会が無さそうなので原因③として挙げさせてください。
虎の神怪を倒した直後にシユウとラスボス(になる予定だった)バツのご対面があり、この2人の因縁について語られるのですが、ザックリ要約すると…
太古の昔、大暴れしていたシユウをバツが世を守るために鎮めた
⇩
シユウ鎮圧に力を使い果たしたバツは地上を彷徨うことに
⇩
しかし救ったはずの人間には疎まれ迫害の対象になってしまう
⇩
バツ「マジで意味わからん!よし、シユウの力を利用してこの世に復讐してやる!!」
出典:遥川潤『カエデガミ』(集英社)

これ、読者視点で感情移入できるキャラはシユウではなくバツでは??
となりました。
いかにも悪役然とした様子で描かれたバツですが、元々は人間を厄災から救った善神であり、その人間に恩を仇で返されたならキレるのは分かりみしかありません。
ついでに言えば、シユウが人間(コウ)とイチャコラ暮らしていることが気に入らないのも大いに共感出来るところ。
出典:遥川潤『カエデガミ』(集英社)
この作品がヒット作になっていたら、スピンオフで『カエデガミ~Episode BATSU~』とか出そうなくらい共感と応援が出来るキャラ、それがバツでした。


「感情移入出来る主人公」という人気作の必須要件がバツにはあります
一方の本物の主人公であるシユウが大暴れしていた理由が特に語られないのがまた痛いんですよね…
暴れていたことに何かしらやむを得ない事情があればシユウに対する見方もまた違ってくるんですが、結局最後まで語られなかったので、相対的にバツの主人公力が上がるばかり。

なのでこの件に打ち切りの原因を求めるなら「主人公側に共感と応援がしにくい」となりましょうか
ただこの設定が明かされたのが9話目なこともあり、この頃には打ち切りが決まってたorどんな設定を出そうと修復不可能になってても何らおかしくはないので、やはり原因①②で挙げたフックの弱いバトルと設定に対する違和感が大きそうです。
まとめ
以上、原因を考察してみました。
光るモノを感じさせつつも、粗削りな部分も多い初(重要)連載作という管理人好みの作品でしたが、得てしてこの手の作品は粗のほうが目立って短命になりがちな気がします。

にしても17話は短いよなぁ…
まあ何に光るモノを見出すかは結局個人の好みなので主観でしかないのですが、それでも各所の反応を見ると、管理人以外にも刺さっていた読者はそこそこ見受けられたので、持ち味をそのままにレベルアップした次回作に期待といったところでしょうか。
それでは今回はここまで!

ご愛読ありがとうございました!!
COMMENTS
個人的にはキャラ絵は上手いけどストーリー、キャラが微妙でした。個人的には地力がまだ根本的に足りてない作者という感覚ですかね。せっかくの絵の上手さも小綺麗な雰囲気で終わっていて正直絵でのフックも微妙でした。せっかく悪辣なわかりやすいヘイト役を敵として出したのに迫力が足りなかったのも要点の一つと思います。
絵は好きだったし上手かったなぁ案外もうちょい続いても良かったのでは、?
今期終了…はまだ仕方ないとしても、17話はここ最近ではかなりの短命ですね…
同期の面々にも言えますがちょっと運もなかったように思いました
「身体あるじゃん」は最初かなり思ってました。
武器を扱う手足がないといいつつ移動には不便はしていなそうだし、手もパッと見あるんだかないんだか分からないしで。
2OUTなら助かっていたのかなぁ~?
まあ、センターカラーも無く人気もなかったみたいだから切られたんでしょう
更新お疲れ様です
序盤がつまらなすぎましたね
シユウの喜怒哀楽以外何も覚えてません
カジが出てきてから多少クオリティがマシになった(2巻打ち切り漫画レベルが5巻打ち切り漫画レベルになった程度ですが)気がしますが、10話で出てきても時すでに遅しでしょう
フォーマットの似ている鵺が3話で先輩、6話で代葉を出したことと比較するとサバイバルレースにおける勝負感の差を感じました
キャラ絵うまくても、キャラが魅力薄いから読んでて無味無臭すぎてな。。
劇場入ってからの邪悪な百合(?)展開
このおどろおどろしい雰囲気、作者の得意要素は多分こっちでしょうね
連載にあわせてジャンプバトル要素をいれたけどうまくいかなかった感じするので
こっちを鍛えるか、いっそそこをはすてて得意分野で戦うかした方がよさそう
絵は抜群にうまいしまだ23歳?と若いらしいので次に期待です
カエデが終了。遥川潤先生、おつかれさまでした。
画力が、最後まで素晴らしかったです。ストーリーも、個人的には良かった方でした。「惜しかったなぁ……」という思いです。
巻末コメントからは、また戻ってきてくれそうな感じがしました。なので、次回作を楽しみに待ちたいです。
打ち切り原因に「えのき化」がないのが意外でした。
あの作画の簡易化とマスコットグッズの出しやすさにより作者と編集が得をし、美形ヒロインを見に来た読者がガッカリする誰得設定……。
とうまさんのおっしゃる通りバツが誌面に乗った頃にはもう内部で通告されてたでしょうし打ち切りにはあまり影響してないでしょうけど改編時期が早まったせいか決着をつけられなかったのは残念でしたね。その代わり饕餮とカジを通して蚩尤とコウを描けたとは思いますが。
蚩尤はバックボーンがない方が「らしい」かな、と。
カジが出てからコウも蚩尤も魅力が増して話が面白くなったのでハクタクさんの弟子としてロバ編の4話とか早期に出て来てくれていたら……。と思わずにはいられない気持ちです
ちょっと読者に媚びすぎなんじゃないか…?って思って序盤で一旦切りました。
シユウはどっちかというと九尾とか宿儺寄りの危険な存在なはずなのに、一話の時点で主人公大好きかつ美人で巨乳で長身のお姉さんって都合良すぎないか…?ギャグとかラブコメ系ならまだしも、割と殺伐とした世界観のバトル漫画でこのノリはちょっと…
絵は本当に魅力的だったので、話がある程度続いて面白さが担保された時に改めて読もうと思ってました。次回作に期待したいです。