ご覧いただきありがとうございます。
「あの作品はxx話で掲載順が最下位になった」「あの作品はxx週連続で掲載順が最下位だ」といった感じで、記録を争うかのように語られる昨今の打ち切りトーク。
そんな打ち切りオリンピックといった様相の現代打ち切り界隈ですが、時代を遡ると掲載順最下位までの所要期間で、絶対王者と言うべき記録を持つ作品が存在します。
ということで今回は古典作品の紹介
こちらのメタルKです。
週刊少年ジャンプ1986年24号~1986年33号に掲載。全10話、全1巻
この作品が掲載順最下位になったのは圧巻の第2話。
もちろん巻末固定掲載ではありません
とにかく以下で中身を見ていきます👇
あらすじ(第1話)
冒頭、いかにも主人公らしい澄んだ目の男、兵藤のモノローグから物語が始まります。
出展:巻来功士『メタルk』(集英社)
そんな主人公チックな彼を会社の財産相続の件で呼び出したのが、いかにも悪の科学者ぽい男、伊郷瑠。
出展:巻来功士『メタルk』(集英社)
何でも会社の名を背負ってた冥神家は、15年前に別荘の火事で全員死亡。
そのまま社長の座を継いだ兵藤は冥神家の令嬢、慶子の写真を見るなり青春の日々を思い出し賢者タイムに浸ってます。
出展:巻来功士『メタルk』(集英社)
しかし慶子は生きていた!しかも15年前と変わらぬ姿で!
と賢者モードも覚めるような事態にビビる兵藤。
出展:巻来功士『メタルk』(集英社)
伊郷瑠が慶子の脳を機械に移植したとのこと
この後、何やかんや詰問して、冥神家殺害の主犯格が兵藤であることが判明。
ここで主人公ぽく振舞ってた兵藤が敵で、悪役ぽい見た目の伊郷瑠&慶子が実は主人公サイドという意外性抜群の展開が入ります。
出展:巻来功士『メタルk』(集英社)
読んでてこの見せ方は凄いなと思いました
化けの皮が剝がれるなり、途端にゲスの極み乙女になる兵藤。
今のジャンプでは諸々の規制でお目にかかれないようなカットも入ってます。
出展:巻来功士『メタルk』(集英社)
賢者タイムの回想はピュアピュアだったのに…
ちなみに兵藤は組織という悪の組織に所属しており、冥神家殺害はコイツらが集団で行ったようで、まだまだ犯人がいる模様。
出展:巻来功士『メタルk』(集英社)
冥神家襲撃の時の様子がコチラですが、これもまた諸々の規制で今のジャンプでは見ることが出来なさそうな描写ばかりです。
出展:巻来功士『メタルk』(集英社)
「ドゴーン」「バカーン」という効果音にも昭和の香りを感じます
ということで復讐がてら強酸性の表皮で兵藤を溶かして殺害。
出展:巻来功士『メタルk』(集英社)
最後はバブルスライムみたいになった兵藤のモノローグで第1話が終了します。
出展:巻来功士『メタルk』(集英社)
それにしても表皮が溶けた慶子は、この漫画が連載していた2年ほど前に大ヒットした映画『ターミネーター』の表皮が剥がれたT-800の姿を彷彿させますね
ヒットの規模を考えると影響を受けていたかもしれません
続く第2話、ここで本作に審判の日が訪れます。
第2話(掲載順が最下位に)
迎える第2話『☆危険な遊戯の巻』、慶子の組織への復讐譚が本格始動します。
出展:巻来功士『メタルk』(集英社)
それと同時に掲載順が最下位という珍事が起こり、遊戯以上に連載の続行可否が危険なことになります。
遊戯というのが拉致してきた人間を全裸にして狐のマスクを被せて人間ハントするという確かに色んな意味で危険ではあるのですが、リアルタイムで読んでいたら内容が頭に入ってこないくらいには誌面におけるこの漫画の状況がドエライことになってしまっています。
出展:巻来功士『メタルk』(集英社)
当時の掲載順愛好家たちの反応を見てみたい
昭和の掲載順愛好家の困惑をよそに、人間ハントをノリノリでやってた兵藤の共犯者で秘書の女をサクッと殺害し、後世に(掲載順が)語り継がれることになる伝説の第2話が終了。
出展:巻来功士『メタルk』(集英社)
最下位になったメタルK、本筋に全く関係ない日常回をやった僕らの血盟
この2作が打ち切り漫画第2話のレジェンドですね
それ以降の掲載順もほぼ最下位であり、後の巻末固定掲載というスタイルの作品であるジャガー、磯部、村バスの先祖はこの漫画だと言われてたり言われてなかったりします。
噓です、言われてないです
その後のお話
2話で最下位をマークし、「第1話から巻頭カラーだけどドベ」という哲学的な掲載順にならない限りは破られようもない記録を打ち立てたメタルK
その後のお話では、エロティックな修行編始まったり……
出展:巻来功士『メタルk』(集英社)
同じく復讐に燃えるイケメンが仲間になったりします。
出展:巻来功士『メタルk』(集英社)
ちなみに修行の末に、手の表皮だけ溶かして鞭にするという技を手に入れましたが、昭和のジャンプといったらギャラクティカマグナム‼(BAKOOOOOOOOOOM)や北斗百裂拳みたいな大味の技が主流ってイメージがあるんですが、そんな中でこれはかなり外連味ある技だったのではないでしょうか。
出展:巻来功士『メタルk』(集英社)
そして最後は「俺たちの地獄はこれからだ!」でこの漫画は元号が変わっても語り継がれる打ち切り界の伝説となりました。
出展:巻来功士『メタルk』(集英社)
奥にいる強敵たち、それに立ち向かう主人公たちの後ろ姿という構図が打ち切り漫画の最後のページとしてあまりにも芸術的です
まとめ(なぜ2話目で最下位になったのか)
以上が今後破られることのないであろう記録を持つ作品の紹介でした。
結局、なぜ2話で掲載順最下位という掲載順のルールで考えれば有り得ないことになったかについては、こちらの方のブログで語られていたので読んでみてください。
コレ読む感じだと、集英社は担当編集者間でえらくドロドロしてたんだなぁと。
にしても作家を巻き込むのは良くない気がしますね
これはこれで昭和の気風ってヤツなんでしょうか
メタルKほど極端な例ではないにしても、令和になった今でも、作品の生存可否にはある程度こういった思惑が絡んでるのかなあとぼんやりと思ったりもしました。どうなんだろ…
それでは今回はここまで!
ご愛読ありがとうございました!!
COMMENTS
ジャンプ編集部の闇と言えば、北斗の拳やシティーハンターなどの担当だった堀江信彦さん編集部更迭があります。
最高発行数の頃の編集長でしたが、その後ドラゴンボール終了後の部数下落の責任を負わされて、編集長解任、漫画と関係ない部署にまわされたそうです。
編集長一人に責任負わせるのは、数字の世界とはいえ可哀相に思いました。一部では堀江下ろしと言われてます。
コメントありがとうございます。
日本一の少年誌の編集長を務めることがどういうことかが過去の事例からよく分かりますね。ドラゴンボールのような漫画が終わったら誰がどうしたところで下がるだろうに…
現編集長もかなりハードな局面でバトンタッチされましたがどうなることやら……
後任の鳥嶋編集長も没になった企画の関係者にお詫び行脚したり、マガジンに逆転された苦境のために長期連載を打ち切って新連載5inを行ったり、上層部の命令で乗り気でなかった探偵漫画を企画したり…気苦労が絶えなかったみたいですね。
堀江編集長は独立して出版社を立ち上げられただけまだいい方で、2010年の新連載全滅の責任で早期に降ろされた佐々木編集長は役職なしの閑職に飛ばされたようで堀江編集長を上回る可哀想な末路を辿っています。
編集長に全責任を背負わせたがるのは今も昔も程度の差はあれど変わってないと思います。
上の方への返信のつもりでしたがミスしましたごめんなさい。
ハンズの紹介記事が消えてますが何かありましたか?
コメントありがとうございます。
あのハンズの記事は結構前のヤツで、このメタルKの記事がアップしようと思ってた日に出来なかったため、その繋ぎで一時的に先頭に持ってきただけなので「歴代の打ち切り漫画紹介」のカテゴリから探せばあります!
まさかここで、昔の伝説の打ちきりマンガ、メタルkのがっつり記事が出るとは…!
Black徒然草かと思いました(これにからめて、連載終了という、巻来先生のジャンプ連載した思い出話のマンガ、も取り上げてるサイト)
ちなみにそのサイト、さらにカルトな海人ゴンズイはじめ、チャー研なみのひど…すごい作品も多く取り上げてます、ここと比べるとかなり古い作品多いですが。
古い人間なんで、子供の頃リアタイで知っていたり。
二週目でドベ、当時大人気だったジャンプの読者界隈もざわついたと思います。
割とグロい殺戮描写する作者ですが、あの頃は北斗の拳もあったし。
ひでぶ、とかギャグぽく言われますが、えげつないスプラッタですよ、あれも。
なんだかんだ、二話でドベなのも功を奏してか、カルト的な人気も博してる作品で、次作のゴッドサイダーは1年以上続き、善戦しましたが。(なお、グロさはあんまかわらんかな、まあジョジョとかも始まりだすし)
主人公の骨フォームがターミネーターから、とは面白い視点。多分そうだ。
あと、リンク先の、掲載順位サイト(これもすごいけど)、メタルkが連載開始あたりのメンツがやばい。
16作中12作品がアニメ化したヒット作、しかもほぼすべて今も語りつがれるレジェンド作品。
あとは、サラリーマン金太郎の本宮先生、ターちゃん等でヒットを飛ばす徳弘先生の作品。
この中で生き残れとかいう無理ゲー。
ある意味二週目でドベもあり得ると思えてしまうエグさ。
ちなみにもう一個の作品名は、はなったれブギ。
どう考えても暗やみにドッキリよりも、つきぬける感しかない、絶対売れなさそうなタイトルですが、ちゃんと10週でつきぬけました。
内容はほとんど覚えてませんが、なんか赤塚賞受賞作家なのに、ギャグもおもしろくない、話もおもしろくない、タイトルがあれ。
なんだこれ、て思い出しかない。
ちなみに、その作者、自分はギャグを描いたつもりないのに、なぜか赤塚賞にノミネートされ、連載もギャグマンガ扱いされた、とか後に語ってました。
そんな作者が、花田少年史という作品をヒットさせ、映画化までするとはね。
なお、この作者にとっては、ジャンプのこれは黒歴史の模様。
あまりにも肥大化した人気や、職場でも今よりはコンプラがなかった時代、あんな過酷(いろんな意味で)な職場だからこそ余計に、本当にいろいろあったんだろうな、と。
今も昔も良し悪しはあるなあ、とノスタルジーにもひたりながら思いました。
コメントありがとうございます
おお…当時読んでいたんですね。
北斗の拳もそうですし、聖闘士星矢とかも題材の印象よりもグロかったりしたのでまあこれくらいなら全然際立っていたのではないんですかね
今でも編集部内で自分の担当作以外はどうなってもいいみたいな旨の発言が何処かで飛んでいたと聞きましたが、昭和はそのドロドロがさらに露骨ですね
ちなみにこのメタルkは現在、作者さんが同人誌で続きを書いていらっしゃるみたいです
後、他の方も言及してますがジャンプ時代の作者自伝の「連載終了!少年ジャンプ黄金期の舞台裏」に連載当時の詳しい話があるのでそちらも見てみて下さい!
コメントありがとうございます。
同人でメタルKの続き?を描いているようですね
「連載終了!少年ジャンプ黄金期の舞台裏」のさわりだけ見ましたが、なんというかここまで編集部のアレコレ語っていいもんなんだと思いましたw