皆様はToLoveるという漫画をご存知でしょうか。
少年誌に許される性描写のギリギリのラインを攻め続け、どこぞでやっていた「ジャンプの主人公で誰になりたい?」というアンケートではルフィやナルトを大差で抑えて結城リトが1位になるなど、独自のアプローチで少年たちに夢を与えた作品です。
そんなことで作者の矢吹先生は「神」なんて呼ばれたりもします
本記事で紹介するのはまだ矢吹先生が「人の子」の頃の作品、邪馬台幻想記です。
週刊少年ジャンプ1999年12号~1999年29号に掲載。全17話。
この作品の特筆すべき点として、連載開始時の矢吹先生が18歳ということ。
若い…
以下で色々紹介していきます。
あらすじ(第1話)
時は紀元3世紀の戦乱の時代。
陰陽連という組織で国崩しを行う少年、紫苑が主人公です。
矢吹健太朗『邪馬台幻想記』(集英社)
そんな紫苑が次に崩すのはかの有名な邪馬台国。
兵士採用試験に潜入して、内部から女王の暗殺を謀ります。
矢吹健太朗『邪馬台幻想記』(集英社)
邪馬台国ということで、黒電話みたいな髪型の女が出てくるのかと思うかもですが、そこはやはり「神」になる前とはいえ矢吹先生。
普通に可愛い女の子が出てきました。女王でありヒロインの壱与です。
矢吹健太朗『邪馬台幻想記』(集英社)
今と比べると当然絵は拙いですが、しっかりツボを押さえたキャラデザです
護衛に任命されたので手際よく暗殺に移るも、倭国(日本)統一の夢を聞き、傾きかける紫苑。
矢吹健太朗『邪馬台幻想記』(集英社)
しかしここでトラブルが発生。壱与が紫苑の上司に捕まります。
矢吹健太朗『邪馬台幻想記』(集英社)
ToLoveるを知っていると、この壱与の表情を見て「ネズミ化したリトが服の中に潜りこんだのか」と思ってしまいますが、リトが生きるのはこの時代から約1800年後なので違うと分かります。
そういう要素はこの漫画にはありません
それはそうと、強き心で月読の剣を発現し、上司から壱与を助ける紫苑。
この剣のネーミングやデザインに作者の初々しさが溢れており愛おしくなります。
矢吹健太朗『邪馬台幻想記』(集英社)
また、強き心というフレーズもド級の打ち切り漫画との関連性を探りたくなりますが、あれは戦後の話であり、この時代から約1700年後なので特に関係は無いのが分かります。
そもそも作者が違いますね
バッサリ斬られたというのに妙に説明口調で去っていく元上司。
こうして紫苑は陰陽連を脱退し、倭国統一の夢を叶えるため聖地高天の都を目指すのであった…
矢吹健太朗『邪馬台幻想記』(集英社)
以上が第1話です。
この後の展開は厨二心をくすぐる設定とワードと交えた和ファンタジーといった感じで進み、打ち切り特有のツッコミどころはあまり見受けられません。
矢吹先生といったら魅力的なキャラと自作とのクロスオーバーなので、以下ではこれらを軸に2話以降の内容を紹介します👇
味方キャラと次作との関連性
物語の目標としては、紫苑と壱与とその他の仲間で聖地高天の都を目指すというものです。
女王であり戦闘員ではない壱与はピーチ姫のように攫われてばかりかと思われますが、そこは捻ったこの漫画。
壱与も戦闘に参加出来るほどには強かったりします。
矢吹健太朗『邪馬台幻想記』(集英社)
後の作品のジャンルを知っていると、この先端がバチバチになってる武器を見てヤラシイものかと考えてしまいがちですが多分深い意味はありません。
加えて割とメンタルは弱めな紫苑に対し気丈な性格であり、あとがきにも書かれていますが次作のトレイン&サヤ、リト&ララ、祭里&すずに見られる弱い男を女の子が導くという関係性の原点になっています。
矢吹健太朗『邪馬台幻想記』(集英社)
とは言えやはり本職は王女なので、ピンチの時には男衆に助けてもらいます
矢吹健太朗『邪馬台幻想記』(集英社)
このシーンもToloveるなら今頃壱与はニュルニュル地獄になっていますが…
この話はもう止めましょう
そしてもう一人の仲間キャラがコチラのレンザです。
矢吹健太朗『邪馬台幻想記』(集英社)
何故かいきなり西洋風な名前です
上のコマが示すように植物の声が聞けるとのことで、ララの妹であるモモにも同じ能力があることから、モモはこの男から着想を得て生まれたキャラかもしれません。
矢吹健太朗『邪馬台幻想記』『To LOVEる―とらぶる―ダークネス』(集英社)
圧倒的変化…!!
敵キャラと最後の展開
お次に敵の親玉であり紫苑の師匠であるシュラ。
このコマのように精神の強さを重んじており、ドリトライセンサーがビクンビクンに反応してしまいます
矢吹健太朗『邪馬台幻想記』(集英社)
やはりドリトライは邪馬台幻想記とのクロスオーバー!?
恐らくラスボスとして意図されたキャラですが、尺の都合で彼との対決はナシ。
ということでラスボスになってしまったのが紫苑の元ライバル、紅真
矢吹健太朗『邪馬台幻想記』(集英社)
月読の剣VS紅星の剣という、文字列だけでも邪気眼が発動しまいそうな最終決戦です。
くっ、左目が疼くぜっ……!!
残り1話というところで、追い詰められていた紫苑が心の強さで覚醒し決着。
覚醒と共に髪がほどけるというのも如何にもと言った感じで好印象です。
矢吹健太朗『邪馬台幻想記』(集英社)
最後は天の声の実況で物語を一気に畳み、俺たちの戦いはあやかしトライアングルでだ!!となります。
矢吹健太朗『邪馬台幻想記』(集英社)
この約1年後、BLACK CATを連載開始。
4年にも及ぶ長期連載を獲得し、イヴを筆頭にフックが強い女性キャラ達を輩出。「神」への足掛かりを築きます。
そして2006年、遂にToLoveるシリーズが始動。
そして彼は「神」になった。
2020年からはあやかしトライアングルを開始。
上述のように終盤で邪馬台幻想記との関連性が示され、約20年を経て紫苑と壱与の物語が語られます。
矢吹健太朗『あやかしトライアングル』(集英社)
まとめ
以上、邪馬台幻想記でした。
矢吹先生の初連載が18歳と知った時は、まだそれより下の年齢で特に何も感じませんでしたが、今考えると凄いなと。
しかし読んでみると年相応に色々不慣れな部分や、頑張って設定やネーミングを練ったことが読み取れ、18歳連載デビューへの畏敬の念と若々しさの二面を味わえる唯一無二の読み味となっています。
ちなみにオリジナル版は全2巻ですが、文庫本版は1巻でまとまっておりお得な値段で全話読めるので気になる方は買ってみてもいいかもしれません。
それでは今回はここまで!
ご愛読ありがとうございました!!
COMMENTS
この頃〜ブラックキャット中盤くらいの絵好き❤️
ダークネス末期〜あやとらあたりの絵はテンプレ化しすぎちゃって
読んでないのに読んだ展開と知ってる構図が続くデジャヴュ体験
コメントありがとうございます。
ダークネス末期になると無印の頃とほぼ別人になったキャラもいましたもんね。
明確な時期は分かりませんが、途中からデジタル作画に変えた影響なんでしょうか