週刊少年ジャンプ2023年38号にジャンプGIGAへの移籍を発表した王道ファンタジー漫画、ブラッククローバー。
8年以上、計368話に及ぶ超長期連載の末、本誌を勇退したこの作品ですが、前作は短期で打ち切りとなっています。
ということで今回はブラクロの前作、HUNGRY JOKERについて書こうと思います。
週刊少年ジャンプ2012年50号~2013年24号に24話掲載、全3巻
ブラクロはHUNGRY JOKERの15倍以上の長さ連載したと考えると、田畠先生がド級のリトライを果たしたことが伺えます。
このように作者のサクセスストーリーを彩らせるのも打ち切り漫画の魅力です
それでは内容を見ていきましょう。
あらすじとメインキャラ紹介
まずは大まかなあらすじから👇
過去の記憶を失った天才科学者の少年・ハイジは、「大量の光る死体と黒いリンゴ」という唯一の記憶を手掛かりに、自分の過去を追っていた。
そんなある日、自分の記憶の中の「黒いリンゴ」が、適合した者に能力を与える超常物質「エウレカ」のうちの1つ、「ニュートンのリンゴ」であることを知る。
そして、ハイジは自分の過去を解き明かす旅を続けるうちに、世界の滅亡を目論む、生まれながらのエウレカの適合者集団「黒い軍神」との戦いに巻き込まれていく。
こんな感じです。
こちらが主人公のハイジです。
出典:田畠裕基『HUNGRY JOKER』(集英社)
少年漫画の天才キャラの文法に則り、感情表現が貧しく掴みどころがない、しかし何処か人間味のあるキャラとして造形されてます。
出典:田畠裕基『HUNGRY JOKER』(集英社)
そしてヒロインがこちらの鳥井大路 千歳(とりいおおじ ちとせ)です。
出典:田畠裕基『HUNGRY JOKER』(集英社)
天才主人公に振り回されるドジっ子メガネ巨乳であり、さすが田畠先生、王道を突き進んでいます。
そしてあらすじ黄色のマーカーを引いた「エウレカ」についてですが、これは「実在した偉人の発明や理論を戦闘用に昇華させる道具」という認識でよいでしょう。
例えばハイジのエウレカであるニュートンのリンゴは、万有引力が元ネタになっており重力操作(後に撤回されますが)👇
出典:田畠裕基『HUNGRY JOKER』(集英社)
こちらの敵の幹部が持つメンデルのエンドウ豆は、摂取させることで、その者を化け物に変異させます。
出典:田畠裕基『HUNGRY JOKER』(集英社)
メンデルは遺伝学の人なので、ダーウィンとかの方がこの能力にマッチしてる気が…
エウレカを使って人類を滅ぼそうとする悪の組織 VS それを阻止すべくエウレカの適合者を集めて戦う人類
というのがこの漫画の基本構成になります。
その他のキャラとお話の流れ、そして早々にハプニングが
この後はブラクロにありそうな連携技で敵を倒したり…
出典:田畠裕基『HUNGRY JOKER』(集英社)
ブラクロにいそうな女キャラと出会ったり…(かわいい)
出典:田畠裕基『HUNGRY JOKER』(集英社)
ブラクロに出てきそうな迷宮に突入するハイジたち。
出典:田畠裕基『HUNGRY JOKER』(集英社)
しかし!ここでハイジたちにハプニングが…!!
この迷宮に突入したあたりの第13話で掲載順が最下位になります。
これはかなり危険なパターンです
尾田栄一郎先生のエウレカ適合者でも仲間にしないと、打ち切りになってしまいそうですが、この漫画の運命はいかに…!?
怒涛の王道展開、俺たちの戦いはこれからだ!
迷宮を攻略したあたりで、敵の親玉が主人公の兄という王道展開を経てからの…
出典:田畠裕基『HUNGRY JOKER』(集英社)
残り4話というところで、敵が打ち切りの王道と言わんばかりに総攻撃を仕掛けてきます。
出典:田畠裕基『HUNGRY JOKER』(集英社)
そしてハイジと千歳が読者の知らないところで、なんかすごい発明をしてタイトル回収
出典:田畠裕基『HUNGRY JOKER』(集英社)
最後は見開きでメッチャいい顔するハイジと共に、打ち切り漫画の王道中の王道、俺たちの戦いはこれからだ!で終了しました。
出典:田畠裕基『HUNGRY JOKER』(集英社)
少年漫画の王道も、打ち切り漫画の王道も味わえる。
王道少年漫画ブラクロの田畠先生にしかできないラストでした。
この打ち切りの約2年後に、科学バトル→魔法バトル、無表情な主人公→底抜けに明るい主人公に変更してヒットを叩き出すことになります。
【最後に】なにがダメだった? 実は連載開始前から問題が……
さて、短期打ち切りになってしまったHUNGRY JOKERですが、読んでみると半年で終わるほどアカンか?と感じます。
初連載ながら高い画力、よく練られたエウレカの設定、かわいい女キャラ(個人の感想)と押さえるところは押さえており、せめて1年弱は連載してもいいクオリティだったと思います。
が、それはあくまで内容だけにフォーカスした話。
この漫画の問題点は、プロトタイプとなる読み切り版にあります。
つまり…どういうことだってばよ?
HUNGRY JOKERが連載開始した背景には、金未来杯(新人漫画家の読み切りコンテストのようなもの)で同タイトルがグランプリを受賞⇒連載化といった経緯があります。
それがコチラ👇
出典:田畠裕基『HUNGRY JOKER』(集英社)
御覧のとおり、ハイジはいるのですが、その他の要素は連載版と全く異なっています。
内容を要約すると、「野生生物を化け物に進化させるウイルスに脅かされる人類。人間ながらにウイルスに感染した科学者であるハイジの活躍を描く物語」って感じです。
ジャンルとしてはサバイバル漫画といったところでしょうか。
出典:田畠裕基『HUNGRY JOKER』(集英社)
エウレカ云々は登場しません。
タイトルも連載版とは異なる意味で回収されます。
出典:田畠裕基『HUNGRY JOKER』(集英社)
この方向転換ですが、読み切りを支持した読者からすると…
金未来杯で面白かったHUNGRY JOKER連載になるんか!楽しみ~!!
⇩
え?読み切りと全然違うの始まった…ニュートンのリンゴ?エウレカ?What’s happened?
と、こんな感じで連載化を楽しみにしていた、作者としては一番オイシイ読者たちにコレジャナイ感を抱かせてしまったのが敗因だと私は考察しています。
読み切りのテイストだと連載にするには難しかったんでしょうか
それでは、今回はこの辺で!
ご愛読ありがとうございました!!
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