漫画におけるタイトル回収というイベント。
僕のヒーローアカデミア、進撃の巨人、ゴールデンカムイetc.名だたる傑作がこのタイトル回収を作中に組み込み、その意外性や物語の核心に迫る場面で提示されることから最終回より盛り上がるなんてこともザラにある、作中における1大イベントとして定着しつつあります。
肌感覚としては、進撃が大ヒットをしてから伏線回収イベントと共に一気に普及した気がします
そんなことで未来の傑作を目指す気鋭たちが少し含みのあるタイトルを付けて連載を開始するのですが、物語に深みが出る前に打ち切り宣告をくらい、温めていた構想が志半ばで散った事実も含め何とも言えない気持ちにさせられるタイトル回収を見かける機会が増えてきました。
本記事では打ち切りの殿堂、週刊少年ジャンプからこのような事例が2023年あたりから急増してるので紹介します👇
【ただのタイトルじゃねぇぞ】ドリトライ
まずは近年もっとも有名であろうドリトライのタイトル回収。
出典:雲母坂盾『ドリトライ』(集英社)
このド激アツなタイトル回収に至るまでの経緯としては
ラスボスの圧倒的力に挫けそうになった主人公がギャラリーの激励で立ち上がります
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何度でも諦めずに前に進むリトライをします
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これはただのリトライではありません
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これはド級(凄いものを表すワード)のリトライです
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ドリトライだ!
といったところでしょうか。
元々意味不明なタイトルだったこともあり、意外性の点ではずば抜けてるかもしれません
このタイトルの何が凄いかと言うと、仮にドリトライが長期連載になっていたとして、意味不明なこのタイトルの回収はどこかで入るはずですが、それまでの過程がどんなに真っ当に面白くてもタイトルの意味を知った瞬間から「この漫画は実はギャグ漫画だったんだな」と思わせる力があります。
作品がネタになるのを約束したタイトルと言えます
インパクト、知名度共に今後の打ち切りタイトル回収界を牽引する存在になることに疑いの余地はありません。
【極東・死霊・愛】極東ネクロマンス
お次は👆のドリトライに匹敵するインパクトを魅せてきたド級の新星、極東ネクロマンスから。
出典:那波歩才『極東ネクロマンス』(集英社)
背景としては…何かと唐突すぎて正直よく分からん状態なのですが、取り敢えず「ヤンデレの死霊に死ぬほど愛されて眠れない主人公」といったことなのだと思います。
まさかすぎる意味のタイトルで主人公みたいなリアクションになること請け合いです
察するにドリトライとは違い、最初からこのような意味でタイトルをつけたワケではなく、思いついたからやってみたのかなと感じますが、「ロ」が1個余ってることが気にならない程にはドリトライとは違った勢いがあります。
極東ネクロ「ロ級の」マンスってコトぉ!?
ちなみにドリトライのタイトル回収が行われたのが2023年40号、極東ネクロマンスは2024年40号で号が一致。
運命ですね
それ言いだけだろ
そうです言いたいだけです
【正のタイトル回収】ツーオンアイス
続いてはジャンプでは珍しいペアフィギュアスケートを描いたツーオンアイスより。
出典:逸茂エルク『ツーオンアイス』(集英社)
ざっくり言うとタイトルの「ツー」は単に2人という意味ではなく、互いを支え合う2人性格を表したものだったということです。
先述のドリトライと極東ネクロマンスは明らかに作者がヤケクソだったのに対し、実在する演目を絡めたうえで感動的に仕上げており、「正の打ち切りタイトル回収」と言えるかもしれません。
たっくんに全部持ってかれた感はありますが、こういう演出も本作の強みです
単行本最終巻には10,000字以上の論考と出せなかった設定の放出があるのですが、キレイな回収ではあったものの、やはり作家さん本人的には不完全燃焼だったようです。
このへんは打ち切られた作家さん全員が感じることかもしれませんが
次回作で成功することが作品に対する償いとのことでしたので次回作に期待したいところです。
【マルチミーニング】魔々勇々
最後はニューノーマルなファンタジー漫画である魔々勇々から。
出典:林快彦『魔々勇々』(集英社)
なんかこのコマだけ見ると物語の中盤の終わり頃みたいな雰囲気ですが、実は第3話の終わり。
かなり「ズラした」ような作風だったので、タイトル回収も早目に「ズラした」のかもしれません
しかしこの少し後に事件の名前としてタイトルが再登場したりと、タイトルの意味は?と問われたら時代のことなのか事件のことなのかよく分からないことに。これも「ズラし」か…
出典:林快彦『魔々勇々』(集英社)
作者さんなりにハマったタイトルだったから色んな使い方をしたかったのかもしれません
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