2005年~2006年の週刊少年ジャンプは最も混沌とした時代の一つと言われています。
エニエスロビー編のONE PIECE、我愛羅救出編のNARUTO、破面編のBLEACHといった具合に看板作が大盛り上がりの一方で、誌面の奥底では後世に名を残す打ち切り作たちが誕生しました。
具体的には大泥棒ポルタ、ツギハギ漂流作家、斬、タカヤ -夜明けの炎刃王-の4作であり、その全てが一度読んだら忘れないほどのインパクトを有することから「打ち切り四天王」と呼ばれることに。

四天王最弱が決められない程には粒ぞろいです
今回はこれらの偉作群の一柱、斬を紹介します。
2006年34号~52号で掲載。全18話。

以下で詳しく見ていきます。
世界観とあらすじ
まずは世界観とあらすじから。
といってもこの漫画、その辺を作中で親切過ぎるくらいには親切に説明してくれています。
こちらが世界観です👇
出典:杉田尚『斬』(集英社)
要するに法律で帯刀が許されており、しかも合意の上でなら斬り合いもできる世界です。

日本人の良識をもってしても治安を維持できそうにない法制度です
そして先に言ってしまうと、この合意というのは作中においてほぼ守られません。
てなわけで早速合意なしに殺されそうになる気弱な少年。
彼が主人公の村山斬です。
出典:杉田尚『斬』(集英社)
ここで斬が死んだら1話打ち切りとなってしまうので、刀を振り回してこの人を吹っ飛ばして連載継続させます。
出典:杉田尚『斬』(集英社)
明らかにクリーンヒットしたのに切れてない…
ここで斬の持つ刀の詳細が懇切丁寧にモブから伝えられます
出典:杉田尚『斬』(集英社)

私の説明は不要か……
斬本人についても天の声で懇切丁寧に説明されてるのでそちらをご覧ください👇
出典:杉田尚『斬』(集英社)

そこまで説明せんでも…というのが本作の基本スタイルです
序章 仲間集め編
少年漫画なので主人公には仲間が必要です。
ということで仲間第一号がこちらの月島さんです。
ONE PIECEで言うところのナミでしょうか。
出典:杉田尚『斬』(集英社)
学校のアイドル的存在とのことですが画力のせいであまり説得力が…
しかしやはり学校のアイドルだけありヤバいファンがおり、独占の危機に。
出典:杉田尚『斬』(集英社)

有名税にしてはちょっと重たすぎますね
この人に斬も月島さんも殺されそうになりますが、斬のもう一つの人格が覚醒。
出典:杉田尚『斬』(集英社)
立ちながら「もう立つ事すらままならない…」状態まで追い込み、刀剣美少年月島さんゲットです。

こういうワケ分からない描写も魅力の一つです。
お次はゾロにあたる戦闘員ポジの仲間、貫木。
出典:杉田尚『斬』(集英社)
強い奴を求めているということで、お約束の戦いに勝って仲間になります。
しかし決着の仕方が中々ユニークで、覚醒から戻って蜂にビビった斬が躓いた勢いで貫木吹っ飛ばして対ありです。
出典:杉田尚『斬』(集英社)

この勢い割と嫌いじゃない
そしてこれまたユニークなのが吹っ飛ばされた貫木の「左が全身やられちまうなんてな」という発言。
出典:杉田尚『斬』(集英社)
先ほどの「もう立つ事すらままならない…」もですが、本作を読むうえでこの辺の描写や日本語のおかしさを気にしていたらキリが無いのでバッサリ切り捨てましょう。

斬だけにね!!
終章① 月島さん奪還編
さて、仲間集めパートも終わり次なるステージへ。
金に物言わす坊ちゃんに月島さんが攫われたので貫木と救いに行くことに。

ONE PIECEで言うところのアーロンパーク編ですね
出典:杉田尚『斬』(集英社)
このアーロンパーク編がこの漫画の最終章になるのですが、終盤の敵ということでこの親衛隊は「並の手練」ではないようです。
出典:杉田尚『斬』(集英社)
これも引っ掛かる言い回しですが、そりゃ手練なんだから並ではないだろうと…
ともかく貫木はパワータイプの親衛隊の相手をすることに。
ここの決着は斬特有の異様な説明口調で片付きます。
出典:杉田尚『斬』(集英社)

ここまでつらつらと喋らんでも…
一方の斬は何やかんやで親衛隊の1人を仲間にし、先ほどの「並の手練」じゃない親衛隊最強の男とバトルに。
出典:杉田尚『斬』(集英社)
ここまでで13話なのであと6話。
コイツ倒して完結でもいい気がしますが、もう一味加えてくるのが本作のニクいところです。
終章② 突然の新キャラ投入&ぶん投げエンドへ…
13話終盤、残り約5話というところで生徒会執行部という第3勢力が登場
執行部なので坊ちゃんと親衛隊の粛清に来たと思ったら、月島さんも粛清予定に入ってる模様。
出典:杉田尚『斬』(集英社)
もう打ち切りを宣告されたか、作者も打ち切りを予感してる頃だと思うのですが、こんな風呂敷広げて大丈夫なのでしょうか。
なんて思ってたら生徒会執行部はあっさりと斬り捨てられました。なぜ出した…
出典:杉田尚『斬』(集英社)

読むと分かりますが物凄い疾走感です
最後は斬が大将戦を制し、僕の武士道はこれからだ!で編集部に斬されました。
出典:杉田尚『斬』(集英社)
斬覚醒の謎とか月島さんが粛清対象になってる理由とかは明かされず、バッサリ斬り捨てられました。

斬だけにね!!
まとめ
以上、斬の紹介でした。
管理人の思い出話になりますが、この作品を読んで初めて「打ち切り漫画」というものを幼心に識り、その時のインパクトが強かったこともあり思い出深い作品です。
歳を重ねてから読むと、粗はそりゃ凄いですが、好感が持てるほどに真っ当に少年漫画しており、少し見方が変わるのが面白いところです。

ツギハギ漂流作家のほうが悪い意味でのインパクトはあるかもしれない
それにしても2005~2006年は斬だけでなくポルタ、ツギハギ、タカヤ、ハンズetc.が連載していたと考えると記事のネタに困らない良い時代だなあと感じてしまいます。
それでは今回はここまで!

ご愛読ありがとうございました!!
COMMENTS
個人的だと思うけども。
10年代のクソ漫画四天王
サムライ8、U19、学糾法廷、バディストライク
だと思うな。サム8はご存知だが、U19と学糾法廷はクソ漫画四天王に匹敵する程の漫画だった。
コメントありがとうございます
10年代だとスポーティングソルトや東京湾も捨てがたいですね
というか学糾法廷、スポーティングソルト、東京湾が生まれた2014年~5年も物凄い時代です
私の中で打ち切り漫画と言えばこれです!いやー懐かしい。
ワンピースで言えば~の説明で声出して笑いました。
読んだ当時は子供だったので深く考えていませんでしたが確かに合意があれば斬りあいOKの社会ルールは滅茶苦茶ですね。
コメントありがとうございます。
かなりインパクトのある打ち切りですよね。
合意があれば斬りあいOKの社会ですがそれすら作中では守られてない相当かぶいた世界です
まとめありがとうございます
懐かしい…あのころは打ち切り漫画含めジャンプの全作品ちゃんと読んでたなぁ〜って懐かしい気分になりましたね
コメントありがとうございます。
この漫画の異質さで初めて打ち切りというものを知りました。「明らかにNARUTOやBLEAHに比べて絵も話も変だし、なんか強制的に終わらさせられてない…?」ということで点と点が繋がってこの世の真理を知った時の感触は忘れられません。
この作者の次作SWOTも味わい深い
裏カクゴという意味不明概念が好きすぎた
コメントありがとうございます。
SWOTも懐かしいですね。画力が斬からかなり上がったからもしやイケるのでは?と思ったらそんなことありませんでした。
カクゴの芳ばしさもさることながら、闇暗氷とか終創始(おわり そうし)とか子供の頃でもムズかゆくなるネーミングも光ってました
すぎたん、今も定期的に新作出すんですよね
(去年まで遊戯王のコミカライズ連載)
神海っちゃん、ポセ学といい斬といい元打ち切り作家達が最強ジャンプ辺りで今も活躍してるのは嬉しくなりますね(低年齢層向けにアプローチ出来るのも才能ですし)
コメントありがとうございます。
遊戯王のコミカライズやってるの知ったときはそりゃ嬉しかったですね。令和になってもヘビースモーカーすぎたんの絵が見れるとは…!と
神海先生の5年1組途中までしか読めてないですが、好調なんですかね。ティックトックですごい数再生されてるみたいな話は聞きましたが