【超問題作】打ち切り漫画 僕らの血盟 紹介 | 大人の事情と読むジャンプ

【超問題作】打ち切り漫画 僕らの血盟 紹介

③歴代の打ち切り漫画紹介

2005〜2006年の週刊少年ジャンプ。

それはポルタ、ツギハギ、斬、タカヤというセオリーが一切通じない怪作たちを生んだ神秘の時代です。

時が流れ2019〜2020年。

ここにまたサムライ8-八丸伝-魔女の守人タイムパラドクスゴーストライター僕らの血盟という前時代を超えかねないヤバすぎる奴らが誌面に放たれました。

この4作のうちどれが最もクレイジーか。というのはかなり意見が割れそうですが、本記事では個人的に最強だと感じる僕らの血盟を紹介。

週刊少年ジャンプで2020年41号~2021年08号に掲載。全18話、全2巻

前置きが長くなりましたので、早速内容の紹介👇

あらすじ(第1話)

人間の社会に吸血鬼が溶け込んで暮らす世界。

人間の孤児で吸血鬼に育てられたこのイケメンが主人公の1人緋月シンです。

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)

で、このコマで一緒に紹介されてるのが義理の弟のコウです。

人間と吸血鬼の義兄弟ということで2人のスタンスとしてはこんな具合であり、兄の血を吸って弟が力を得る契約を交わしているようで、これがタイトルの意味なんだと思います。

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)

そして回想でラスボス(になる予定だったはず)の「あのお方」の存在を仄めかし、吸血鬼と人間の共存という目標が掲げられます。

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)

「予定」とある通り、この後彼は登場はしません

かなりザックリ追いましたが、1話は無難といえば無難。

こうして人間と吸血鬼の兄弟による物語が幕を開けるのであった…

伝説の第2話

むかえる第2話、ここでぼくらの血盟はジャンプ打ち切り史に名を残すお話を出してきました。

なんと箸休め回が始まりました。

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)

舞台設定の掘り下げや、1話で提示された人間との共存という大目標の為にアクションを起こすわけでもなく、屋敷に入ってきた人間の少年とのワチャワチャが始まります。

アニメ化が決まったかのような余裕ぷりですが、まだ2話です

この少年、シンの写真を見るなり「ちょービジンーッ」と発言するあたり、BL系の薄い本漁ってそうで将来有望ですが、彼も「あのお方」同様にこの後に登場しません。

なぜこんな無意味なキャラを2話で出した…

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)

オチは猫っぽい生物を飼い始めシンがゆっくり読書できるようになり、さいくるびより顔負けのほのぼのエンドをキメ込みます。

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)
ジャンプ大好きジョン
ジャンプ大好きジョン

話を進めるうえでなんの進展もないやん…

と普通の読者なら思うところですが、この猫っぽい生物がのちに大爆笑展開を巻き起こすので(後述)打ち切り漫画ラバーとしてはあながち不要な回ではなかったと言えます。

というか2話でこんなことやる時点で面白いんですが

吸血鬼と人間に悲しき過去…と現在

ここで吸血鬼と人間の過去編を1つまみ

時は16世紀の東欧、人間の中に溶け込み暮らす吸血鬼の家族がおりましたとさ。

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)

そんな吸血鬼一家の少年が人間の少年と仲良くなり、隠し事は嫌なので正体を明かしたところ、意外にも受け入れられ、絶対誰にも言わないと語る人間の少年。

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)

と思ったら秒で(ページで言えば1ページ後)住民にチクっており、家を焼かれ家族を殺されてしまった吸血鬼の少年。

人間の少年も絶対誰にも言わないとは何だったのか、と考えてしまう発言を飛ばしており、当然のように住民もろとも切り捨てられその因縁が今でも一部で残っているとのこと。

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)

人間の少年の手のひら返し速度が凄まじい以外は、よくある過去編って感じです

そして現在、争いを好まない吸血鬼はひっそりと人間界で暮らしており、総人口の0.2%ほどで、少数民族のように生きているようです。

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)

調べたところ、本作が連載された2020年時点の世界総人口は78億人

その0.2%となると吸血鬼の人口は1,560万人…ジンバブエの総人口とほぼ同数です。

ジャンプ大好きジョン
ジャンプ大好きジョン

割と多いな吸血鬼!!

吸血鬼は基本的には争いを好まないようですが、この吸血鬼人口を支えるために結構な犠牲は出ていそうです。

こういう自分で出した数字を扱えないのも打ち切り漫画あるあるです

一方で過去の因縁から過激な思想にはしる吸血鬼もいるようで、それがコイツら👇

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)

左が灰賀はいが、右が廻峯かいねです

コイツらですが、友情が芽生えた人間と吸血鬼を監禁し、吸血鬼を飢餓状態にすることで友達を喰わせ、共存を目指す主人公たちを挑発。

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)

こういう展開も本誌ではあまりウケがよくありませんね

尺の都合でコイツらがラスボスになってしまうのですが、ラスボスに相応しく更にブッ飛んだ展開を魅せてくれます。

ツッコミきれない圧倒的バトル

ということで過激派吸血鬼たちとのバトル開始。

開始前に2話で拾った猫っぽい生物を追いかけ、漫画太郎のノリでトラックに引かれる灰賀。

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)

そして轢いておいて悪態ついてくるという、10周くらい回って冷静なトラック運転手。

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)

普通の人間なら頭の中真っ白になりそうな事案ですが…

このおっさん、灰賀が立ち上がるのを見ると迷うことなく再び轢き殺しにかかります。

ということでおっさんとハンドル以外が蒸発するほどの怒りのパンチ🧛👊

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)

シュールな絵ですが、作画コスト削減のために消滅させたという説が有力です

人間の残酷さにキレる灰賀ですが、こんな人間そうはいません。

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)

既にお腹いっぱいですが、灰賀とのバトル中に主犯格の廻峯が背後からの一突きとともに登場。

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)

主犯格の登場ということでキレてフルパワーで切りかかるコウですが、灰賀が廻峯を庇い戦闘不能に。

そしてついさっき灰賀を刺して登場したくせに彼がやられるなり狼狽したり傷を心配したりと、流石ラスボスだけあり情緒がサッパリ分かりません。

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)
ジャンプ大好きジョン
ジャンプ大好きジョン

心配するくらいなら刺すなや!!

ボーボボ以上にハジケたバトルであり、ツッコミが不在なだけに誰にも止められないと思われましたが、遂にジャンプ編集部という「人間」たちにより打ち切りを宣告され、トンチキ吸血鬼ワールドも終わりを迎えます。

やはり人間は残酷な生き物です

バトル決着、いい感じ()のラストへ

ハジケバトルの最中、またも背後から何者かに攻撃される吸血鬼たち。

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)

吸血鬼は十字架やニンニクの他にも背中が弱点かもしれません

この人たちは光狼フェンリルというのですが、こんだけの数で現れたものの、これ以外に出番はありません。

そしてここに来て更に現れる新キャラ。主人公たちの叔父にあたる人が出てきました

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)

この手のビジュアルのキャラお決まりの飄々としつつも冷徹な強キャラであり、あっさりと廻峯を拘束。

そして廻峯にも自分がやったような飢餓状態を味わわせます。

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)

極限状態の廻峯を前に主人公たちは救いの手を差し伸べますが、その前に謝らなければならない相手がいるだろと語りかけるコウ。その相手とは……

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)

廻峯に飢餓状態にさせられた吸血鬼の女の子だけでした。

出典:かかずかず『僕らの血盟』(集英社)

なんか良い感じの雰囲気になってますが、餌にされた人間の女の子のことには一切触れられず、吸血鬼サイドだけで勝手に解決して、この件は手打ちとなりました。

人間は残酷だから別に詫び入れなくてもいいっしょとか思ってたのかもしれません

そんなことで共存に向けて特別進歩があったワケでもなく、そして1話に出てきた「あのお方」は結局何なのか分からないまま連載が終了。

単行本描きおろしで語られたりもしません

まとめ

以上が僕らの血盟でした。

日本で吸血鬼漫画といったらやはり彼岸島ですが、あちらにも一切引けを取らないどころか喰いかねないほどのトンチキっぷりが凄まじい作品だと思います。

流石のジャンプブランドといったところでしょうか

また僕らの血盟のもう1つの特徴として、どことなくBLを狙ったような展開が散りばめられています。

確かにそういう需要もジャンプにはあるものの、本作は養殖モノ感が強すぎて、そのへんも含めて人間界の少年雑誌の傾向を掴めていなかったように感じます。

それでは今回はここまで!

ご愛読ありがとうございました!!

コメント 名前とアドレスは任意です

  1. 匿名 より:

    ぼくらの血盟はタイパラやサムライ8並みに炎上してましたね。2話の日常回のせいでネットでは知らない漫画の二次創作とまで言われてます。血盟の後は3年後のイチゴーキ操縦中まで2巻打ち切りは無かったので相当アンケが悪かったのは間違いないと思います。
    BL本の読みすぎかよっていうのとジャンプスクエアに載ってる終わりのセラフの二番煎じかよっていうのが率直な感想でした。
    2020年は鬼滅の刃などの円満終了が多かった関係で新連載が3inや4inを何回も行って最終的には平成以降で断トツ多い18本も投入されてました。
    その年にBUILD KINGを連載した島袋先生がこれは通らないだろうと思ったネームが連載会議をあっさり通ってしまったという趣旨の発言をされていて頭数を揃えるために通常であれば却下されるレベルの漫画(タイパラや血盟など)も簡単に通ってしまった可能性はあると思います。あのアクタージュ事件もこの年で戦力が枯渇していたことは間違いありません。
    その後かかずかず先生は一昨年にGIGAで読み切りを発表したきり消息不明なので少なくともジャンプ本誌に戻ってくるかは微妙ですね。

    • とうま とうま より:

      コメントありがとうございます。
      個人的にはタイパラ、サム8にもギリ勝てるくらいのインパクトがありましたね。まともそうな話が第1話しかない。トラック運転手の下りは一番吹っ切れてる時のテニプリより笑いました。
      2020年は鬼滅、ハイキュー、ネバラン、チェンソー、(アクタージュ)が終わってかなり円満との入れ替わりが激しかった時でした。それでもまだヒロアカとドクストと渋谷事変やってる呪術がいたから2024年現在の感覚からするとなんて層の厚さだ……
      血盟はセラフっぽかったですが、その後のGIGAの読み切りは蟲師っぽかったですね。

  2. 匿名 より:

    やったー血盟回だ!
    2020年代のクs…迷作打ち切り漫画を語るうえでは欠かせない作品だと思っていたので、更新嬉しいです!

    ところで、シン(ビジン)とコウ(ガキ)の名前、逆になっちゃってませんか…?

    • とうま とうま より:

      コメントありがとうございます。
      逆でした!!!ありがとうございます🙇美学が足りなかったです
      修正します

  3. 2S より:

    そう思うとシン君の成長譚としての側面も見られるSAKAMOTO DAYSは(個人的にも思い入れは断然なこともあって)アクタージュ事変もあり救世主的作品でしたね。
    魔男組の所感も見ましたが、しのびごとは坂本商店の二番煎じにならないような差別化をどれだけできるのかが焦点になってますね。

    • とうま とうま より:

      コメントありがとうございます。
      サカモトも同期がビルドキングで最初の方はしまぶーの防波堤なのではと囁かれてましたが、まさかアクション描写に活路を見出してあそこまで跳ねるとは…でもってしまぶーがあんな打ち切り方されるとは……
      しのびは画風やキャラデザがウケ良さそうなのでそのへん押し出してほしいですね

  4. 2S より:

    ※思い入れは断然ってのは全巻買ってもいたアクタージュのことです。

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