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本記事では2000年代前半の打ち切り中世時代の隠れた名著を紹介。
それがコチラのグラナダ-究極科学探検隊-です。

週刊少年ジャンプで2003年01号~2003年16号に掲載。全14話、全2巻
本作の構成を簡単に表すと以下のようになります👇
第1話~6話…物語の本筋の進行
↓
第7話~14話の13ページ目…過去編
↓
第14話の14ページ目~19ページ目…ラスト
全14話のうち8話近くが過去編という冷静に考えなくても意味不明な構成をしており、ここまで攻めた話作りをしたのは後にも先にもこの作品だけではと思えます。

過去編に圧迫されてラストが6ページしかないのもイイ味してます
肝心の内容を以下でメチャクチャ簡単に語っていきます。
究極の科学探求伝、開幕!
「科学は万能!!空を飛び海に潜り大気を突き抜け宇宙まで(以下略)」という導入で始まるこの漫画。
この漫画の行く末を知っていると、「突き抜け」という言葉に反応してしまいそうですが、それは一旦置いておきます。
出典:いとうみきお『グラナダ-究極科学探検隊- 』(集英社)
そんな科学バンザイな雰囲気の中、1万年前に存在した究極の科学文明グラナダの謎を解き明かすため、その正典を集めるジュゲムと太郎が主人公です。
無鉄砲で行動派のジュゲムと、それに振り回される頭脳派メガネの太郎という割とよくあるキャラ付け。
出典:いとうみきお『グラナダ-究極科学探検隊- 』(集英社)
ちなみにジュゲムの能力は、自分の身体を粒子レベルまで分解できるというものですが、打ち切り漫画としての本作を語るうえでは大して重要じゃないので覚えなくていいです。
出典:いとうみきお『グラナダ-究極科学探検隊- 』(集英社)
そんなかんなで3冊目の正典が眠る東京ピラミッドに侵入。
この場所は一度入るとメビウスの輪的なスゲェ仕組みで出れないとの事ですが、これも別に覚えなくていいです。
出典:いとうみきお『グラナダ-究極科学探検隊- 』(集英社)
なんやかんや東京ピラミッドを出られた主人公コンビの前に追手が…
出典:いとうみきお『グラナダ-究極科学探検隊- 』(集英社)
あわや大ピンチ!というところでプロフェッサー(ジュゲムの育て親の名前。覚えなくていいです)が守ってくれた1冊目だけはやれねー!と光りだすジュゲム。
出典:いとうみきお『グラナダ-究極科学探検隊- 』(集英社)

これは主人公覚醒イベント!?
と、いうところで差し込まれる過去編。よく見る流れではあります。
しかしここから始まる過去編は誰も見たことのない未知の域へと突き進んでいきます。
なかなか終わらない過去編
第7話冒頭、全てはここから始まったという出だしで始まるジュゲムの悲しき過去…
出典:いとうみきお『グラナダ-究極科学探検隊- 』(集英社)
冒頭で書いた通り、この第7話冒頭~14話の13ページ目までが全て過去編という超巨大スペクタクル長編となります。

物語が全部で328ページで、そのうち過去編が146ページなので全体の約45%にあたります
参考までに他の打ち切り漫画と比べてみると、死ぬほど話数割いたことで有名なレッドフードのケイドロですら全18話の内の6話。
出典:/川口勇気『レッドフード』(集英社)
主人公が延々と盗作の言い訳し続けてることで名高いタイムパラドクスゴーストライターでも、言い訳パートは全14話の内の5話ちょいであり、いかにグラナダの過去編が占めるウェイトが異常であることが分かります。
出典:/原作:市真ケンジ/作画:伊達恒大『タイムパラドクスゴーストライター』(集英社)
これに対抗するには、サムライ8原作でお馴染みの岸本先生の前作にNARUTOという作品があるのですが、広い目で見れば物語の70%くらいはサスケというキャラを奪還するパートであり、最早それ以外にグラナダ過去編の圧倒的ウェイトに勝つ手立てがなさそうです。

サスケとは宙返りが得意で、マックでもネットでも玩具になってるアイツのことです
再三書いている通り、かなり長大な過去編なので中々終わらず、読んでるとまさにメビウスの輪の上にいるような感覚を覚えますが、重要な点を挙げるとすれば究極の科学グラナダが滅んだ過去を記したアカシックレコードを書き換えることを出来る存在がジュゲムだったということでしょうか。
出典:いとうみきお『グラナダ-究極科学探検隊- 』(集英社)
この「主人公が実は世界をも動かしうる力を持つ存在」というネタバラシは先に挙げたレッドフードを彷彿させるものではありますね。
出典:/川口勇気『レッドフード』(集英社)

メタネタに走らないからレッドフードよりはインパクトは弱いかもしれないです
あとはグラナダを作った偉大なる9人という存在も出てきますが、読者からしたら今更9人もしっかり描写する尺は無いだろうというのは、科学の力を借りずとも分かりきってる事なので割愛します。
出典:いとうみきお『グラナダ-究極科学探検隊- 』(集英社)

実際ほとんど掘り下げられませんでしたしね
圧倒的短さのラスト
過去編が終わり現在に帰還。残りページ数は6。
過去編始まる前に都心で敵に襲われてましたが、どうやって助かったかのか描写される事なくよく分からん草原にいました。
出典:いとうみきお『グラナダ-究極科学探検隊- 』(集英社)
管理人のような単行本派からすれば「ブン投げやがった…」となりますが、本誌で当時読んでいた読者からすれば、過去編が長すぎてその前の展開なんて覚えてないから問題無いのかもしれません。

何より打ち切りが決まった漫画は無敵なのです
最後は「グラナダの科学に不可能は無い!!!」と叫び、この漫画は突き抜けていきました。
出典:いとうみきお『グラナダ-究極科学探検隊- 』(集英社)

グラナダの科学でも打ち切り回避は不可能でした
まとめ(ヒロインについて)
以上、隠れた名打ち切りのについてでした。
打ち切り漫画としての本作を語るうえで外せないのがヒロインの存在。
出典:いとうみきお『グラナダ-究極科学探検隊- 』(集英社)
本編のどこを探してもヒロインらしいキャラは出てこないのですが、単行本では隙あらば幕間やら扉絵やらに出て来る究極の科学以上にミステリアスな存在です。
出典:いとうみきお『グラナダ-究極科学探検隊- 』(集英社)

要するに尺の関係で出せなかったから、せめて単行本の空いたスペースに出してる状態です
極めつけには最終巻の登場キャラ紹介に登場してないのに載る始末。
そこまでして出したいキャラだったのか……
出典:いとうみきお『グラナダ-究極科学探検隊- 』(集英社)

「本編には出ていません」という注意書きに涙を禁じ得ません
過去編が超絶長くなってラストが6ページしかなくなったり、出したかったであろうヒロインを出せなかったりと、打ち切りを〆るのにも力量が問われることを再認識した作品でした。
それでは今回はここまで!

ご愛読ありがとうございました!!
COMMENTS
wikiによるとこの作者さんは2018年以降活動されていないとの事のようなので心配ですね…
コメントありがとうございます。
もう7年も音沙汰無いとなると…とは正直思います。
今回採り上げたグラナダの次回作で謎の村雨君という作品を発表してましたが、グラナダほどじゃないにせよそれも単行本で見た感じ結構派手な散り方でしたし……
和月先生のイベント関連でコメント寄せてたりするのでご健在なのは間違いないようです
あと別名義で漫画描いてらっしゃる説があるようで
いとうみきおって結構アクションも描けるんだ!
昔やってたジャンプ漫画家漫画が古臭いうえにギャグがキツくて
積極的に読みたくはない作家の一人だったけど、
貼られてる画像だけでも読みやすそうなのと結構良い画でビックリ
キッツイオーバーリアクションもSFアクションならまだ気にならなさそう
コメントありがとうございます。
ノルマンと比べると見やすいのかなと思いますが、でもやっぱり作中のノリみたいなものは人を選びそうですね。(あとキャラデザも)
ただノルマンには無かったグラナダの問題としては、変に設定を練りすぎてて結果として読者に伝わりにくいものが多かったところでしょうか
エキデンブロスほどではないけど、絵のクセ強いなぁと思う。気持ち悪いまでは言わないけど、少し苦手寄り。画力はあると思うけど…
個人的に最初のノルマンは日常系としてそこそこ読めるものを描いてたのに、どんどん微妙になっていった人ってイメージがある。昔の方が絵のクセやノリも落ち着いてたし、もっと人情系の話とか描けてた気がするんよね…
あとこの人ちょっとダサいのをカッコいいと思ってる節があるような。グラナダだと、育て親の科学者のおっさんが変な髭だったような…。可愛いヒロインを描けるんだから素直にそっちを出しておけよとは思ってしまうな。
コメントありがとうございます。
絵のクセもキャラのクセも強いですね。それはグラナダの次のムラサメ君でも変わらなかったので、もはや全部ひっくるめてそれが作風と言うことなんだと思います。
結果論ながら、そんなにヒロイン出したかったなら主人公の相棒をビジュアルがパッとしないメガネにせずにヒロインにすれば良かったのではと感じます