週刊少年ジャンプ2025年30号でエンバーズが終了しました。
約7年半ぶりにジャンプ最難関ジャンルであるサッカーに挑んだことで、全宇宙の打ち切り愛好家の注目を浴びたこの作品は20話で試合終了となりました。

これでも歴代の打ち切りサッカー漫画の中では3番目に長い連載期間です
それではここから物語の集大成となる最後のコマ、打ち切りになった原因考察について書いていきます。
最後のコマ
こちらが物語の最後を飾るコマです。
出典:原作:車裂圭 作画:西井聡太郎『エンバーズ』(集英社)
本作のテーマとしてアウトローを掲げていましたが、数年後展開という優等生な模範的打ち切りENDとなりました。
試合も描き切って綺麗に終われた…と言いたいところですが、打ち切りが決まってからは主人公がいつの間にかルールも技術も会得してるという強引な展開を出したので、過程を考えると綺麗な終わりとは言えそうもないですね…
出典:原作:車裂圭 作画:西井聡太郎『エンバーズ』(集英社)

もし打ち切りが決まってなかったら、まだドリブルも満足に出来ない状態だったと思います
以下から打ち切りになった原因考察に移ります👇
打ち切り原因① どこかおかしいサッカー描写
題材にもなっているサッカーですが、その試合描写がどこかおかしいのが第一に挙げられます。
中学の試合が45分ハーフだったり、GK無しのルールで全員攻め上がってたり、GKいる試合でも何故かグローブ付けてなかったり等々…
出典:原作:車裂圭 作画:西井聡太郎『エンバーズ』(集英社)
サッカー歴が体育の授業と、校庭の隅に転がってる砂ぼこりまみれの空気抜けたボールでPKごっこやってたくらいしか無い管理人でも奇妙に映る描写が多く、読むうえでノイズになっていたと思います。

挙げたらキリがないレベルなので、他にも気になる方は過去の記事を参考にしてください👇
ノイズになるだけならまだ良いのですが、読者に「作者は題材に対してあまり関心が無いのでは…?」と疑念を抱かれたら作品の信用を取り戻すのは難しく、その点も影響して読者が定着しなかったのかもしれません。

題材は繊細に取り扱いしないと危険なことになりそうです
打ち切り原因② 過去のスポーツ漫画っぽさ
本作の展開や細かな設定が、歴代の大ヒットスポーツ漫画から取ってきたようなものが見受けられたのも原因にあるように思えます。
SNSでよく突っ込まれていた点を挙げると
・中学の試合でボロ負けした相手に高校でリベンジを誓ったら、まさかの同じ高校だったというハイキュー!!ぽさ
・不良の主人公がスポーツやるというSLAM DUNKぽさ
・女子高生が監督をやっているという黒子のバスケぽさ
このへんを見かけました。
出典:原作:車裂圭 作画:西井聡太郎『エンバーズ』(集英社)
制作サイドに真似する意図があったか知る由は無いですが、これも読者に「パクりでは…?」と心的ガサ入れをされた時点で、途端に熱が冷めていくので痛手になっていたのではと感じます。
管理人的にはスラダンと黒バスぽさについては、たまたま被っただけと思わなくもないですが、ハイキューぽさについてはかなり疑惑の目で見てしまいます。

仮に作者がハイキュー知らなくて全く意図してなくても、編集がツッコんでやれないものか…
打ち切り原因③ ド素人の主人公という設定
主人公は中学時代は喧嘩に明け暮れ、サッカーはルールも知らないド素人ということで物語が始まりましたが、この設定自体がかなり難易度が高かったように思えます。

ルールは把握していてあとは実践経験を積むのみという状態なら進行もスムーズですが、ルールすら知らないとなると、競技の土俵に立たせるにも相当な尺を割かねばならず、本誌のスピード感にはマッチしにくい設定に思えます。

この漫画の場合、打ち切りが決まってから何の描写も無くルールも技術も会得してましたが…
そういった事情を抜きしても、何であれだけ意気込んでサッカー始めたのに、入部段階でルール知らないんだよという疑問を生んでしまっており、この辺りもどうにかならなかったものか…
出典:原作:車裂圭 作画:西井聡太郎『エンバーズ』(集英社)

受験勉強が忙しかったのかな?
打ち切り原因④ やはりジャンプでサッカーは修羅の道
最後はやっぱりジャンプでサッカーは難しいよねという話。
エンバーズを含め9連続打ち切りでその内3作は10話終了。
冨樫先生もハンター描くのダルくなったらサッカーにジャンル変更すれば打ち切りで執筆終えれるのでは?と思えるジャンル。それがサッカーです。


もはやジャンルそのものが呪われています
呪われてるから打ち切りも仕方ないよねで済ますのも味気無いので、なぜジャンプでサッカーが難しいのかを考察します👇
①競技参加人数が多い
サッカーは11人で行いますが、他の競技と比べても参加人数が多いことから、漫画に落とし込むとどうしても情報量が多くなる&キャラが掘り下げしきれないからかなと感じます。

9人で行う野球も難関ジャンルですが、同じ理由が挙げられそうです
実際エンバーズの試合展開を見ても、主人公のいるチームですらまともに描写されたのはせいぜい5人前後であり、「フットサル漫画だったんか…?」と思える状態でした。
敵チームに至っては1人しか描写されず。仮にも強豪校なのに……。
出典:原作:車裂圭 作画:西井聡太郎『エンバーズ』(集英社)
11人全員をしっかり描写する必要は無いにせよ、人数が多くて情報過多にならないように読者に見せるのは難しいのかなと感じます。

流石にエンバーズはもう少し頑張れと思いますが
敵校のネームドキャラ1人て…
②メジャーな競技で新鮮味が無い
世界的人気競技であるサッカー⚽。しかしジャンプでは人気が無くすぐ打ち切られるジャンル、何故か?
単純にメジャーすぎて漫画で嗜むものでもないという事が無意識にあると思うんですよね。
生き残る漫画の傾向を見てもアメフト、囲碁、落語etc.マイナーなジャンルの方が生存率が高く、創作だからこそ目新しいものを求めてるのかなと感じます。


思っている以上に読者は進取の気質が強いのかも
とは言え他誌だと人気ジャンルだったりするので、何故ジャンプではここまで厳しいのかはやはり謎です。
と、ここまで長々と書いといてアレですが、シンプルに「ジャンプに面白いサッカー漫画を描く作家が現れないだけ」で話がついてしまいそうではあります
まとめ
以上、打ち切りの原因を考えてみました。
10話打ち切りが全く珍しくもないジャンプサッカーにおいて、20話も連載したエンバーズはもはや長期連載の部類ですが、ぶっちゃけ時代が違えば10話で終わった気がします。
地味過ぎて打ち切りになるケースが多いサッカー漫画ですが、エンバーズは作画ミスや他作との既視感etc.やらかした点が多く、打ち切りサッカー界のトリックスターと言える作品かもしれません。
それでは今回はここまで!

ご愛読ありがとうございました!!
COMMENTS
とりあえずのミスは1話の不良を続投させなかったことだと思う最初から主人公を認めるチームメイトというのはスポーツ漫画だと個人的には案外重要だから。次に入部テストとかスタメン取る系はやっぱ足枷になってるとも思った無駄に強豪校設定にしたのに素人がAチームに入れる設定のかみ合いも悪すぎたアウトローサッカーって煽りにしてたんだし不良高とかでもよかったのでは?と思わされる。最後に来るのはドリブルすら知らない無駄な素人描写。歴が素人ならまだわかるがプレイングまで素人で貫く必要はなかった
コメントありがとうございます。
あの不良たちはリーゼント崩してまでサッカーに熱注いでただけに続投させても良かった気はしますね。
それ以降の展開は仰る通りで、あらゆる要素や舞台設定が敢えてハズしてるのかと思えるくらい全く嚙み合わないのが問題でした。
エンバーズ…?刹那で忘れちゃった
〇〇ぽさってのがまさにそのとおりで鷹見の名前が全然覚えられずに(ハイキューの)影山みたいなやつって認識だった
そんでもってラスボス校があまりにも弱すぎるし敵のキャプテン兼GKがザルすぎる…マンツーマンにそう来るかとか言って余裕出してたくせに3失点…ただ最終話はよかったハゲ監督(敵校)と主人公の絡みだけは1話と同じで本当によかった
おいあんた!!ふざけたコメントしてんじゃ…
鷹見は性格だけでなくビジュアルまでどこぞのコート上の王様そっくりだったので、そう思ってしまうのも仕方がないです。
灰谷が急に板付いた過程すっ飛ばし展開を考えなければあの終わり方は読後感めちゃくちゃ良かったと思います
ただでさえサッカーは描写大変なのにエンバーズは思いつく要素詰め込みまくった結果とっ散らかって矛盾だらけになった印象ですね
それでいてネームドキャラは少なく、先輩たちはモブ化して素人のはずの灰谷ばかり大活躍する奇妙な展開に…
先生も結局灰谷に入れ込むなら、指導の下で底辺校の不良たちがサッカーで成り上がる話とかでよかったのではと思ってしまいます
コメントありがとうございます。
やりたいこと見せたいことがいくつかあったのは伝わるんですが、それらを整合性取って落とし込むことが出来なかったんでしょうね
ルービックキューブマンに1点取られただけで先輩も監督も影山も急にメンタルやられだして灰谷だけ諦めてねぇ!!みたいな状況作った時は正直変な笑い出ました。味方キャラまでも不自然な舞台装置に成り下がりおった……
こんにちは
実は今日、エンバーズだけではなく、週刊ビッグコミックスピリッツのサッカー漫画「アオアシ」が完結することはご存知でしょうか?
エンバーズもアオアシも主人公がサイドバックという珍しい漫画で、さらにラスボス戦(時期はアオアシの方が先)にも共通点が多々ありました
・ラスボスの戦術はポゼッションサッカー
・ポゼッションへの対抗策として主人公チームが採用した戦術はオールコートマンツーマン
・ラスボスチームのエースが途中で投入されて戦況を一変させ、主人公チームの心をへし折る
・ラスボスチームのエースはDFの体当たりに対して強靭なフィジカルを見せつける
アオアシは累計発行部数2300万部、アニメ2期の制作が決定し、最終回でスピリッツの表紙を飾る大ヒット作です
当然試合描写のクオリティーもエンバーズを遥かに凌駕しています
そのため、両方読んでいるサッカー漫画好きからすればエンバーズの稚拙さがより際立ってしまったのではないかと思いました
まあ黒林戦が始まる前に明らかに打ち切りが決まってるので「打ち切りの原因」ではないんですけどね
コメントありがとうございます。
アオアシ終わったんですか。ジャンププラスのドリブルぬっこあーしちゃんも先週急速で畳み始めたのでなんか同時多発的にサッカーが終わってますね
アオアシを読んだことないから比較は出来ませんが、エンバーズは主人公チームの心をへし折る展開が灰谷持ち上げる意図が先行してるからあまりにも違和感が…肝心のラスボスもよくいるいけ好かないヤツという枠を出なかったし……
「サッカー漫画は成功しない」という読者の色眼鏡(少なくとも私は色眼鏡をかけてしまっていた、反省)と、原作者と編集の壊滅的なサッカー知識が渾然一体となった結果かな?と。気の毒なのはブルロでアシスタントやってた!と連載前大々的にジャンプから煽られてしまった作画さん……
コメントありがとうございます。
打ち切り漫画好きとしては、よくここまで期待を裏切らないものを出せたなと。というかサッカー知識が絶望的な漫画は歴代のジャンプサッカーでも無かっただけに期待を超えてきました。
ブルロ作者としては全くの善意での宣伝だったんでしょうけど、結果としてあれは一体なんだったんだ…とはなってしまいます
強豪のサッカー部のはずなのに監督が女子高校生とか、噛み合っていない設定が多すぎた
1話の先生が新しく作ったサッカー部に入るで良かったような
それなら主人公が初心者でもギリ分かるし
コメントありがとうございます。
伝統校なのに正規の監督はどこに行ってしまったんだと思いましたね。リストラされたんか…?
結果論ですが、あの先生が比較的人気あっただけに、レギュラーキャラとして常に登場させといたほうがまだワンチャンあったかもしれません
サッカー描写はともかく、主人公の灰谷とチームメイトとの絡みは読んでて面白さを感じた作品だったかなぁ、14話のみんなで銭湯いく回とかは特に!キャラ付けとかに関してはそんなに悪い所は感じなくて、男子高校生のわちゃわちゃ感とかは面白く描けてたと思うし、個人的には話の締め方も概ね満足したから、そういう意味では次作に繋がるような光るものは感じれた連載期間だったかな
コメントありがとうございます。
銭湯いく回とかそのあとの灰谷と監督のやり取りとか最終回の教師ENDとかサッカーやらない部分は自分も良かったと思うんですよ。ただサッカーやらせると……はい。
結果論ですが他の人も言ってるように、不良校の下剋上漫画の方が良かった気がしますね。
人数多くても暗殺教室のような例もありますし、魅力的なキャラがもっと欲しいところでしたね。
コメントありがとうございます。
考えてみれば灰谷って1話の時点でアウトローから足を洗ったからアウトローサッカーを掲げるなら不良校でスタートしたほうがマッチしていた気がします
キャラの魅力にしても別に不良でもなんでもない選手でもやたら攻撃的だったり煽り癖があってギスギスしてたからなあ、、、
キャプテン翼の高橋陽一先生が、翼の
連載を始めるにあたり、どんな気持ちで取り組んだか聴きたくなります。
コメントありがとうございます。
当時はサッカーが日本ではメジャーではなかったと聞いたことあるような無いような。マイナージャンル扱うにあたっての不安とかはあったのかもしれませんね。
結果的には翼の影響力の凄まじさと後輩作品たちの致死率のコントラストがとんでもない事態になってますが…
二巻が大ボリュームとありましたが、13話掲載だとこち亀190巻以降の分量でしょうか。ほぼドベ掲載の13話、、これも新たな伝説ですね。
コメントありがとうございます。
若手の打ち切リストたちにジャンプサッカーが何たるかを示した教材的漫画だったと思います。それにしても一応20話続いたのに、原作者は経歴不明、作画の過去作は講談社持ちで単行本かさ増し用の読み切り載せれなくて2巻に収めざるを得ないのは何だか切ないですね…同じ話数で終わるであろうB星はちゃんと3巻出るのに
素人主人公だと競技にハマる流れとか基礎技術の会得とかでテンポが著しく悪くなるかつ引きが弱いのはありますね。
これバトル漫画でも同じで、1話で能力を得て初めて戦えるようになるとかだと戦う覚悟を決めるとか序盤に修行しなきゃいけないとかでテンポを乱すし主人公に序盤から魅力が出ないのかなと。
最初から強いとバトルもカッコよくなりますしね。イチみたいに1話で能力得るパターンでも戦闘能力自体はあったし。(ちなみに現状生き残ってるバトル漫画は鵺以外全部これに当てはまってると思います。ヒロアカや鬼滅は違ったんですが今の読者の嗜好が出てるんですかね?)
コメントありがとうございます。
ルール覚えるパートやスキルを身に着けるパートで見せ場を作れるんだったら話は別ですが、まあそれも中々難しそうなので、基礎は身についてて後は実践経験と人間的成長を積むのみというのが扱いやすそうではあります。
バトル漫画に関して言えばオテルもエンバと似たような懸念点があるように思えましたが、あちらはまだ打ち切りが決まった段ではないハズですが修行の過程を一気にカットしていきましたね。
今の陽一やキャプテン翼の体たらくでのみしかキャプ翼のイメージを知らない人間が正直ネタにしすぎてるけど、無印のキャプ翼の序盤は作者がサッカーに詳しくないことを差し引いても非の打ちどころのない面白さと怒涛の展開を持った連載レギュラー化して然るべき名作ですわ
ホイッスル以降の打ち切りだけでもはや野球チーム作れるような連中が見下していい要素皆無
まあそういうことすらわからず学んでないから妥当に打ち切られるんだろうとしか思わんけど
コメントありがとうございます。
正直自分もキャプ翼はネットで見かける異様に頭身高い集合写真やゴールポスト登るコマくらいしか知らないですが、翼って名前の同級生が漏れなくサッカーやってたり、中東諸国の人とMANGAの話になると高校生でも好きなアニメに呪術や進撃やブルロとかと並んでキャプ翼が出てくるあたり熱狂させるものがあるんだなあと。
打ち切りサッカー打線にホイッスルと翼入れれば正真正銘のイレブンが組めますが、やはりこの2作との間には絶対的な差があり一括りにはどうしたところで出来そうもないですね。
稚拙な競技描写、説得力のない設定、魅力のないキャラクター、拘りや独自性が感じられない凡庸で適当な描写etc…
目の肥えた読者が多いメジャースポーツ&本誌爆死先駆者多数のジャンルにおいて、よくもまぁこんな作品を連載させたな、と。
作話・作画 両名ともサッカー知見皆無であり、
管理人氏も以前「制作背景がここまで気になる作品もそうない」と述べていたと思うが、本当にその通りで…
企画経緯やら制作風景(担当編集の監督体制含む)やら連載会議評やら、そのあたりどうなってたんだ…
コメントありがとうございます。
原作の車裂先生が経歴一切不明なのも制作背景が気になる要因なんですよね。このストーリーを作った人物は一体何者…?でもサッカー以外の描写は光るモノはあったと思います。
単行本2巻は特大ボリュームらしいので是非とも制作背景を幕間やあとがきで語って欲しいです(ちなみに1巻の単行本幕間はキャラのプロフィールでした。イナナキ先輩はああ見えて蛇が苦手だそうです)