週刊少年ジャンプ2025年10号からエンバーズというサッカー漫画が連載開始することが発表されました。
キャプテン翼やホイッスルの後継になることを願いたいところですが、打ち切り愛好家はジャンプでサッカー漫画となると、とんでもない打ち切りが聖誕するのではと期待せずにはいられません。
というのもホイッスル以降に始まったサッカー漫画は短期打ち切り率が100%であり、しかもその内全10話で終わった作品が3作という、鬼門の表現すら生ぬるい呪われたジャンルなのです。
こんなジャンル他にはありません
以下では管理人が目にしてきた歴代のファンタジスタ達を簡単に紹介します。
レジェンド打ち切り作家による『NUMBER10』 (全10話)
まずは打ち切り史最大の偉人であるキユ先生(現:松井勝法)によるNUMBER10
2002年に連載され、全10話
10話で打ち切られるのを予言したようなタイトルも本作の持ち味です
打ち切り旧約聖書として名高いロケットでつきぬけろ!の次作として登場し、さながら新約聖書といったこの作品ですが、尺の都合で初試合の途中で数年後になり終わるという流石の突き抜けっぷりを魅せていきます。
出典:松井勝法『NUMBER10』(集英社)
詳しい内容については個別記事があるのでそちらをご覧ください👇
こうして2作連続で10話打ち切りとなったキユさん。未だこの領域に達した漫画家は他にはいません。
2作とも試合結果が分からないまま連載が終わる点でも共通してます
おはようドスサントス-!『マイスター』 (全10話)
お次は闇神コウ〜暗闇にドッキリ!〜の作者、加地君也先生によるマイスター
2008年に連載され、上述のNUMBER10に続きまたも全10話
2つ目にして既にこの有様です
内容は新設校が舞台のサッカー漫画といった感じで、こちらは初試合を駆け足で終わらせてそのまま連載も終了していきます。
試合結果が分からないまま終わったNUMBER10よりはマシかもしれません
物語に特別捻りがあったワケではないですが、「おはようドスサントス-!」や「ふざけるなァ!!」といったセリフが語録として使われたことで、読者の思い出の片隅に潜み続けることになります。
出典:加地君也『マイスター』(集英社)
食戟のソーマの前作『少年疾駆』
3番手は後に食戟のソーマの原作でヒットすることになる附田先生による少年疾駆
2010年に連載され、全15話
ソーマのように原作と作画で分業はしていません
本作はサッカーの試合を描くというよりは、少年たちの成長にフォーカスしたお話でしたが、短期で打ち切られたため最終回目前で突如数年後に飛び、そのまま連載終了へと疾駆していきます。
まあちょっと画力的にもファンを掴むには難しかったか…?頭身低いキャラがメインというのも画面映えせず、人気に繋がりにくいようにも思えます。
出典:附田祐斗『少年疾駆』(集英社)
打ち切りから約2年後に佐伯先生という画力の鬼を作画に据えてヒットします
ミーム的ブーム『LIGHT WING』
恐らく打ち切りサッカー漫画の中で最も愛されているのがこちらのLIGHT WING
上述の少年疾駆と入れ替わる形で2010年に始まり、全21話
NUMBER10とマイスターの話数足しても1話余る長期連載です(?)
サッカー打ち切ってサッカー始める暴挙に出てますが、恐らくWCがあったからそれに便乗したかったのだと思われます
ここまで見てきた作品はリアル路線で話が進行しましたが(NUMBER10はボールが宙浮いたりしましたが)、本作は1話から100対1でサッカーしたり、主人公にイマジネーションの翼が生えたりとかなりブッ飛んだ路線です。
出典:神海英雄『LIGHT WING』(集英社)
ブッ飛びすぎてるので語れることは沢山あるのですが、今もなお本作が愛されている部分をピックアップすると、最凶の敵キャラである『あの人』存在と、初登場時のこのやり取りでしょうか。
出典:神海英雄『LIGHT WING』(集英社)
諸々の点でネタにされがちですが、トンチキな内容がネタになっているというよりは、作者の情熱が読者の理解を超えてしまい、結果面白おかしく語られてるといった感じであり、少年漫画としてアツい漫画であることは間違いないので、管理人的には好きな打ち切り作の1つです。
こういう青臭いアツさが神海先生の持ち味です。地球の子はよく分からない方向に進んでましたが
ジャンプでやるには地味すぎた『DOIS SOL』
LIGHT WINGがドデカい爪痕を残した後に始まったのがこちらのDOIS SOL
2011年に連載され、全17話
表紙の手前に映る茶髪は普通に選手なのですが、奥の黒髪は監督であり、監督という立場に視点を置いた作品です。
その点ではGIANT KILLINGと似ているかもしれません
LIGHT WINGがイナイレの次くらいにはハッチャケていたのから一転し、こちらは必殺技とかの要素は一切ナシ、監督業を軸としてる関係で戦術についての話が多めであり、賢者タイム突入したかのようにスンッ…と大人しいテイストになりました。
同時期に黒子のバスケが能力モノ路線で長期連載を獲得してたので、差別化を図ったのかは一考の余地があります
主人公の好感度ゼロ『TOKYO WONDER BOYS』 (全10話)
少年疾駆⇒LIGHT WING⇒DOIS SOLのWC2010に便乗した怒涛のサッカーラッシュが終了し、今度は2014年大会に向けて再びサッカー漫画を仕掛けてきます。(いい加減懲りたほうが…)
それがこちらのTOKYO WONDER BOYS
2014年に連載され、久しぶりの全10話
本作の特徴としては、とにかく主人公2人が不快である点と、頻繫に差し込まれるギャグがどう贔屓目に見ても面白くなくクドい点が挙げられます。
出展:原作:下山健人、作画:伊達恒大『TOKYO WONDER BOYS』(集英社)
正直この2人が主人公ならアメフトでもバレーでも打ち切られたと思います
詳しい内容については個別記事があるのでそちらをご覧ください👇
ジャンプサッカーの枠に留まらず、ジャンプ漫画全体で見ても2025年時点ではこれが最後の10話であり、その後はジャンプが打ち切りに寛容になっていく事を考えると、ある意味ジャンプ史のターニングポイントと言える作品かもしれません。
あかね噺の前作『オレゴラッソ』
お次はあかね噺の作画担当、馬上先生の前作にあたるオレゴラッソ
2016年に連載され、全12話
テコンドー日本1の主人公がサッカーを始めるという、いわゆる異種転向モノです
1話で主人公がご神木が削れるほど蹴りを入れる描写は物議を醸したものの、かなり無難に話を進めていました。
出展:馬上鷹将『オレゴラッソ』(集英社)
しかし無難なくらいでは即レッドカードになるのが当時のジャンプであり、初試合を終えた後に急にダイジェストが始まり、素人だった主人公がプロになって終わるという、あんまりな終わり方で誌面から退場となります。
出展:馬上鷹将『オレゴラッソ』(集英社)
背景真っ白の見開きが、得も言われぬ切なさを出してます
余談ですが、オレゴラッソが終わった次の週に始まったのがDr. STONE。
そしてDr. STONEが終わるのとほぼ同じタイミングであかね噺が始まります。
Dr. STONEと不思議な縁を感じますね
最長記録『シューダン!』
最後のジャンプサッカーが背筋をピン!とでお馴染み横田先生によるシューダン!
2017年に連載され、採り上げた作品の中では最長の全28話
NUMBER10とマイスターの話数を足してもチャゲチャ1つ分余るという超長期連載です
日常系:サッカーの割合1:1くらいの作品であり、そんなガチでサッカーをやらない漫画でしたが、主人公がノンガチ勢を公言するあたり、日常系をやるにしてもジャンプだともう少し「熱」が欲しかったか。
出展:横田卓馬『シューダン!』(集英社)
打ち切りレースの観点だと、改編から少し経った中途半端なタイミングで数年後に話が飛び、「まさか打ち切りにならず2部が始まる…?」と囁かれたのが記憶に新しい方もいるんじゃないでしょうか。
まあ掲載順推移で見れば疑いようもなく…でしたが
まとめ
以上、呪われたジャンルに挑んだ勇士たちの紹介でした。
エンバーズがどうなるかは記事投稿時点では未知数ですが、サッカー漫画が始まると打ち切り界隈がザワつく理由はお分かり頂けたことと思います。
スポーツ漫画そのものが当たり外れが非常に大きく厳しいジャンルな気がしますが、その中でもサッカーの苛烈さは際立っており、なぜこんなにもド派手に打ち切られるのか…
野球も大概ですが、ここまで酷くはありません
それでは今回はここまで!
ご愛読ありがとうございました!!
COMMENTS
内容が濃厚すぎるw
新海先生はやっぱりいいなあ!
絵面だけでも妙なパワーが大量摂取できる記事ありがとうございます
サムネも呪い成分強くて笑った
コメントありがとうございます。
パパっと作品列挙して一文感想添えるだけにしようかと思ったら、語りたい欲が若干漏れて結構な分量になってしまいました。お付き合いありがとうございます。
サムネはAIに「サッカーは打ち切られる」のイラストを英語で命令したらいい感じのを作ってくれました。
刹那で忘れちゃった…まぁいいかこんな漫画たち
コメントありがとDeath
「あ、迷惑Deathぅー、打ち切りばっか並べられても
死臭がヒドイ!!ゾンビかっての」
シアンみたいなのは嫌いじゃあないぜ って心の中の球磨川が言ってしまうくらいには爪痕が凄まじいですよね。
SOUL CATCHER(S)は好きな人はしっかり好きになれる良作と言えるなぁと読み返してて思ってもいました。
コメントありがとうございます。
シアンは本当に印象に残る敵キャラでしたね。あれにキャラの濃さで対抗できる打ち切り漫画のキャラはツーオンのたっくんと二人の太星のハガデスくらいじゃないでしょうか
ソルキャは神海先生の持ち味がかなり上手いことハマった作品だったと思います。その後の地球の子はどうしてああなったって感じでしたが
ライトウイング以外は無難にやろうとして打ち切られてるように感じます
ジャンプでやるにはパワー不足すぎた
コメントありがとうございます。
サッカーみたいに(言い方は少し悪いですが)目新しい題材ではなく、それでいてハイキューみたいに爽やかさやキャラの良さとかを出力できないと結局なんのフックもなく、読者に関心を持たれにくいのかもしれませんね
メジャーなスポーツは取っつきやすそうではあるのですがね…
サッカー漫画イコールキャプテン翼状態ですからね。ぶっ飛び要素もちょくちょく入れて、試合をきっちり描いているので。
個人的にはオレゴラッソが惜しかったです。もう少し後の体制なら、単行本3巻である程度まとめられただろうに、と。あかねが成功して救われました。
コメントありがとうございます。
オレゴラは悪くはなかったと思うのですが、スラダンとの既視感に引っ掛かる読者もいたんじゃないかなと思います。設定とかバンバやヒロインのキャラとかやっぱり似てるんですよね…
ライトウイングはドリトライと同じでぶっ飛んだ展開で大きな爪痕を残した作品でしたね。
オレゴラッソについては完全に時期が悪く、新連載6inが無ければ少なくとも即死は免れていたと思います。
サッカーに限らずジャンプでスポーツのヒットは10年以上出ていないのは本当に難しいジャンルだってことを物語っていますね。
コメントありがとうございます。
この2つはホントに話題のなり方がそっくりでした。ドリトライは若干作者が壊れてしまった感はありましたが。
ゴラッソが始まったあたりはあからさまに誌面の代謝が盛んだったので、運もなかったですね。
ライトウィングの面白いところは先生は大真面目かつ天然であれやってるところだよね
わざとヘンテコ展開でバズってやろう感がないというか
だから愛おしい出来になったんだと思う
イヴァン雷帝(エゴイスティック・エンペラー)とか常人には考えられないもん
新連載は主人公に華がないのが心配
描いてるうちに目を惹くかっこよさが出てくる可能性あるから期待
コメントありがとうございます。
若手作家が情熱の赴くままに描いたような作風や描写に幼いながらに愛おしさに似たものを感じ取りました。
だからこそ3作目の地球の子で、ハッピーサイエンスな作風になってしまったのが少し悲しかったですね。昔仲良かった快活な同級生がヤバい宗教にハマってしまった時のような感覚というか…
新連載の予告絵、なんか首が異様に長くないですかね…?
サッカー未経験の不良が高校サッカーを始めるのか……
30年か40年前ならそれでも良かったんでしょうが2020年代も後半ですからね
ワールドカップのアジア予選とどっちが先に終わるかな?
コメントありがとうございます。
文字面だけ見たらサッカー版のスラダンですね。過去の名作の2番煎じと思わせない何か差別化した要素がほしいところです
もし仮に極東ネクロマンスやアネモネのように20話の壁と越えられないと、アジア予選とほぼ同じタイミングでおわりそうですね…
シューダンとクロスアカウントが続けられたのも新連載の数の関係だと思います。ちなみに磯兵衛の円満と腹ペコのマリーが打ち切られ、新連載にフルドライブとゴーレムハーツを連載されたのである意味で運が良い作品だと思います。流石にアグラ程では無いけども。
エンバースの予告見ましたがどうも打ち切られそうな雰囲気が漂いそうで心配です。白卓も同じでしたが白卓の方がマシかな?
コメントありがとうございます。
クロアカは運があるにしても、あの第1話でよくあそこまで続けたなあと思います。なぜ伊達先生が各作品は不快感を煽ってくるのか…
アグラビに関しては、アクタ事変で夜桜が救われたかは意見が分かれそうですが、アグラビは確実に救われた作品でしたね
絵単体で見れば白卓とエンバーズだったらエンバーズのほうが可能性感じますが、やはりジャンプサッカーという負のブランドが……